『スペードの3』朝井リョウ

引き続き 朝井リョウさんの本を読む。
お次はこちら。

スペードの3

スペードの3


先日見た SWITCHインタビューの東出昌大さんとの対談で、東出さんがこの本を話題に挙げていた。そういえば 雑誌『ダ・ヴィンチ』でも この本のことを話していたな。
帯には「ダークな朝井リョウが、ここにある。」とあるけれど ダークさと内容のエグさで言ったら 『何者』のほうが数段上をいっている気がする。
この『スペードの3』は、自分のコンプレックスを グリグリとえぐられるのだけど、読後はなぜか爽やかだった。きっと まだ救いが残っている気がしたから。きっと、大丈夫だと。

この本には 3人の主人公がいる。
ミュージカル女優のファンクラブのリーダーである 美知代。
美知代の地味な小学校の同級生の むつ美。
そして ミュージカル女優である つかさ。


話の展開にも、あっ! となるものが用意されていて、面白い。

1番好きだったのは つかさの回。

みんな生まれたものの背景に物語を求める。そこに物語がないと、その結果 生まれたものに意味なんてあるはずないという目で貪欲に物語を求めてくる。

自分には 特別な物語などないと 嘆くつかさ。対して 複雑なストーリーを抱える ライバル女優に嫉妬をする。


あぁ、この気持ち わかるなぁ

すべてのことに意味を求められる

何か理由があるんでしょう?ワクワクするような物語を聞かせてよ、って。

そんなものはないんだよ。何にもない。

辛かった。


だけど、別に そんなもの なくたっていいよね?

少し、楽になったよ。

ありがとう


Kindle版はこちら

スペードの3

スペードの3